Step 1: ギャップの発見
seo.codequest.work(SEOチェッカーツール)を公開して90日。GA4を開くと、日次アクティブユーザーは15〜20人。/jaページには累計652ユーザーが訪問している。ツール自体は正常に動いている。しかし、オーガニック検索からの流入が期待を大きく下回っていた。
別の運営サイト(codequest.work)と比較すると、ページあたりのセッション数が著しく低い。コンテンツもツールも揃っている。構造化データもllms.txtも実装済み。なのになぜ来ない?
まず切り分けるべきは、技術設定の問題かどうかだ。Googleに正しく伝えられているのか、それとも伝えた上で無視されているのか。この2つは対処が根本的に異なる。
Step 2: 伝達ミスの特定
主要ページをSEO_CHECKにかけた。結果は全ページ高スコア。タイトル・メタディスクリプション・構造化データ・内部リンク・OGP、いずれもGoogle公式基準に準拠している。技術的な伝達ミスはない。
これは重要な切り分けだ。Googleへの伝達は正しくできている。つまり原因は技術設定の外にある。titleタグを直しても、構造化データを追加しても、この問題は解決しない。別の角度から見る必要がある。
Step 3: 結果の検証 — 真の原因が見える
GSCを開いて驚いた。表示回数は17,000回ある。クリックが42回しかないだけだ。CTR 0.25%。
Googleはこのサイトを認識している。検索結果に表示している。問題は「見つけてもらえない」ではなく「見つかっているのにクリックされない」だった。GA4だけ見ていたら「トラフィックがない」で終わっていただろう。GSCの表示回数データが、問題の構造を完全に書き換えた。
ここからページ別のデータを掘り下げていく。3つの仮説が浮かんだ。
仮説①: 新規ドメインの「順位の天井」
観察
全体の平均順位は50.7。ほとんどのページが検索結果の2ページ目以降に表示されている。17,000回表示されても、ユーザーの目に実質的に入っていない。
仮説
新規ドメインはドメインオーソリティが低いため、技術設定が完璧でも順位に天井がある。SEO_CHECKスコアは「Googleに正しく伝えられているか」を測るが、「Googleがそのドメインをどれだけ信頼しているか」は別の変数だ。
検証
ただし、ページ別に見ると例外がある。meta-tag-checkは順位7.7でCTR 20%。ニッチクエリでは天井を突破できている。一方、en/seo-checkは表示9,204回あるが順位61.2。競合が多いクエリでは天井がはっきり見える。
分析
新規ドメインでは「全体を上げる」という戦略は機能しない。突破できるニッチクエリを特定し、そこにリソースを集中するのが正しいアプローチだ。SEO_CHECKで技術基盤を整えた上で、GSCで順位が上がりやすいクエリ(=競合が少ないニッチ)を見つけ、そこから攻める。meta-tag-checkの成功はこの仮説を支持している。
仮説②: 順位4.7なのにクリック0 — SERPの構造問題
観察
llms-txt-checkが順位4.7。SEO_CHECKのスコアも高い。にもかかわらずクリックは0件。GA4で見てもこのページへの流入はゼロ。
仮説
このクエリは検索ボリュームが極めて少ない、またはSERP上でリッチスニペットやAI Overviewが回答を完結させている可能性がある。順位が高い=成功、ではない。
検証
SEO_CHECKで確認しても伝達ミスはない。GSCの表示回数自体も少ない。つまりこのクエリは、そもそも検索する人がほとんどいない。llms.txtはまだ新しい概念で、検索需要が成熟していない。
分析
順位が高い=成功ではない。検索ボリュームとSERPの構造を確認する必要がある。SEO_CHECKは「Googleに正しく伝えられているか」を検証するが、「そのクエリに需要があるか」はGSCでしかわからない。3ツールの横断が必要な典型例だ。ただし、llms.txtへの関心はAI検索の普及とともに成長中であり、先行者優位として順位を維持する価値はある。
仮説③: 英語版9,204表示 — 潜在市場の発見
観察
en/seo-checkが表示9,204回。全表示回数の半数以上が英語版だ。しかし順位は61.2。GA4では英語ユーザーのセッションはほぼゼロ。
仮説
英語圏のSEO checker需要は日本語圏より桁違いに大きい。技術設定は問題ないが(SEO_CHECKで確認済み)、英語圏の競合密度が高すぎて順位が上がらない。
検証
この発見はGSCでしか得られなかった。GA4では見えない(流入がないから)。SEO_CHECKでも見えない(技術設定は正しいから)。GSCの表示回数データだけが「まだ獲れていない市場」を可視化した。
分析
9,204回の表示は、英語版のコンテンツ強化と被リンク獲得に投資する根拠になる。順位61.2から30位以内に入れば、表示はすでにある以上、クリックは確実に発生する。ただし英語圏ではAhrefs・Moz・Semrushが上位を占めており、正面衝突は避けるべきだ。ニッチな切り口(診断→改善コード自動生成など、競合にない機能)で差別化する必要がある。
この分析から得た判断基準
- ニッチ集中の原則 — 新規ドメインではSEO_CHECKスコアが高くても順位に天井がある。GSCで突破可能なニッチを特定し、そこにリソースを集中する。
- SERP構造の確認 — 順位が高くてもクリックがない場合はSERPの構造を疑う。SEO_CHECKで伝達ミスを除外した上で、GSCの表示/クリック比を見れば構造問題が判別できる。
- 表示回数は市場の地図 — GSCの表示回数は「まだ獲れていない市場」の地図。GA4に流入がなくてもGSCに表示があるなら、そこに需要がある。
いずれもGA4・SEO_CHECK・GSCの3ツール横断で初めて導ける判断だ。GA4だけでは「トラフィックがない」で終わる。SEO_CHECKだけでは「設定は問題ない」で終わる。GSCだけでは「なぜ表示されているのにクリックされないか」の仮説が立てられない。3つのツールを組み合わせることで、問題の構造を正確に診断し、次のアクションを判断できる。