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Google 7月変動でクリック+41%。 分解したら、変動の寄与はほぼゼロだった

7月コアアップデートの完了直後から、自社サイトの検索流入は明確に伸びた。しかし伸びを分解すると、変動が押し上げた形跡はほとんど見つからなかった。むしろ順位は下がっていた。

13分で読める2026-08-08

検索アップデートの期間中にサイトが伸びていても、それが「アップデートで評価された結果」とは限らない。CodeQuest.workは7月コアアップデート完了後の28日間でクリック+41%・表示+49%を記録したが、伸びを分解した結果、変動の寄与はほとんど確認できなかった。両期間に存在する継続ページのうち順位が上がったのは37%に対し、下がったのは45%。伸びの55%は期間中に新規公開したページ由来で、既存ページの伸びも順位上昇ではなく表示面の拡大によるものだった。アップデートと成長を切り分けるには、日次の段差・新規と継続の分離・順位の分布・表示とCTRの分解という4つの確認が要る。

観察:7月のGoogleは3回揺れていた

2026年7月のGoogle検索は、確認済みのコアアップデートと、Googleが最後まで認めなかった2回の変動が重なった月だった。まず事実関係を時系列で押さえておく。

時期内容Google公式
〜7月9日7月コアアップデートのロールアウト完了(2026年4本目の確認済みアップデート)確認済み
7月18〜19日週末にかけて変動。14以上のSERPトラッカーが同時に反応未確認
7月23〜24日再び広範な変動が報告される未確認

つまり7月は、変動を「体感」する材料が3回もあった月だ。こういう月は、サイトが伸びていても落ちていても、その原因をアップデートに帰属させたくなる。本記事はその誘惑を、自社データで検証する試みである。

一次ソース:Search Engine Roundtable / Globital / Google Search Status Dashboard

実測:アップデート完了後の28日でクリック+41%

検証対象はCodeQuest.work(開発者向けツールと技術記事を扱う自社サイト)。7月コアアップデートの完了日(7月9日)を境に、直前28日間と直後28日間、さらにその前の28日間をGoogle Search Consoleで比較した。

期間クリック(前期間比)表示(前期間比)CTR
5/15–6/11(基準)(基準)5.33%
6/12–7/9+55%+79%4.63%
7/10–8/6(更新後)+41%+49%4.38%

直前28日比でクリック+41%・表示+49%。3ヶ月前と比べればクリック+120%・表示+167%。数字だけ見れば「7月の変動で勝った側に回った」と言いたくなる。ただし1点だけ、この時点で違和感がある——CTRが5.33%→4.63%→4.38%と一貫して下がっている。順位が上がって上位に露出したなら、普通CTRは上がるはずだ。

検証①:日次の曲線に「段差」があるか

アップデートが順位を動かしたなら、日次データは段差になる。ロールアウト完了日や変動日を境に、階段状に水準が切り替わるはずだ。週次の表示数を、最初の週を100とした指数で並べるとこうなった。

100 → 107 → 133 → 183 → 188 → 231 → 264 → 321 → 288 → 320 → 366

7月9日にも、7月18〜19日にも、7月23〜24日にも段差はない。5月末から一貫した右肩上がりのランプが続いているだけだ。アップデートで押し上げられた曲線ではなく、それ以前から進行していた何かの継続に見える。

検証②:順位はむしろ下がっていた

次に、両期間にまたがって存在するページ(=継続ページ)だけを取り出し、1本ずつ順位の増減を数えた。サイト平均順位ではなく分布を見るのがポイントで、平均はクエリ構成の変化に引きずられて実態を隠す。継続ページは数百本規模で、その内訳は次のとおりだった。

継続ページの順位変化(構成比)

  • 順位が上がった:37%
  • 順位が下がった:45%
  • 横ばい:18%

下降が上昇を上回っている。流入が41%伸びた期間に、既存ページの順位は改善するどころか悪化側に傾いていた。

では継続ページの流入はどうだったかというと、クリックは+19%、表示は+27%増えていた。順位が下がりながら表示が増える——これは「上位に上がった」のではなく「拾われるクエリの面が広がった」ということだ。新しいロングテールを拾えば、そのぶん平均順位は下がり、表示は増え、CTRは薄まる。冒頭で見たCTRの一貫した低下は、これで説明がつく。

GSCで順位と表示を分けて読む手順はGSCでSEO施策の効果を検証する方法で詳しく扱っている。

検証③:伸びの55%は、期間中に公開した新規ページだった

最後に、クリックの増加分を「新規ページ」「継続ページ」「消滅ページ」に割り付けた。ここが最も効く分解で、新規ページを混ぜたまま前後比較をすると、サイトはほぼ必ず「伸びた」と出る。

区分クリック増への寄与
新規に出現したページ55%
継続ページ46%
消滅したページ-1%

半分以上が、期間中に公開したページそのものだった。そして継続ページ側の増分も、その最大の1本は変動とは無関係に説明がつく。

継続ページ最大の増分は、7月末に自分で打った施策だった

継続ページで最も伸びた1本(ページC)は順位10.4→6.0で、継続ページ全体の増分の約4分の1をこの1本だけで占めた。これは7月30日に、実表示の多いクエリがタイトルに入っていないことを見つけてタイトルを振り替えた枠である。アップデートが引き上げたのではなく、タイトルとクエリのミスマッチを解消した結果だ。同じ期間に同じアップデートを受けた他のページは、この動きをしていない。

むしろ、変動で削られた枠もある

全体が伸びる裏で、明確に落ちた枠も出ている。ツールAは順位7.7→21.1で検索1ページ目から消滅し、記事Bは順位7.0→9.0とともにクリックを42%失った。サイト全体の数字が伸びていると、この種の個別の下落は完全に埋もれる。総量で勝っていることと、個々の資産が守れていることは別の話だ。

「アップデートで伸びた」を疑う4つの判定手順

今回やった検証は、そのまま他サイトでも回せる。GSCのデータだけで完結し、外部ツールも要らない。

1. 日次で「段差」を探す

アップデートの影響は、ロールアウト日を境にした水準の切り替わりとして出る。前後で滑らかに伸びているだけなら、それは変動由来ではない。曜日周期に騙されないよう、日次ではなく7日単位で見るのが確実。

2. 新規ページと継続ページを分離する

記事を出し続けているサイトは、アップデートと無関係に前後比較で伸びる。両期間に存在するページだけに絞らないと、自分の公開ペースをアルゴリズムの評価と取り違える。今回は55%が新規由来だった。

3. 平均順位ではなく、上昇と下降の本数を数える

GSCの平均掲載順位は、拾うクエリが増えるだけで下がる。「順位が下がった」ように見えて実は面が広がっただけ、という逆転が普通に起きる。ページ単位で上昇何本・下降何本と数えるほうが実態に近い。

4. 表示とCTRを分けて解釈する

順位が上がったなら、表示とCTRは揃って改善するのが自然。表示だけ伸びてCTRが下がっているなら、それは順位上昇ではなくクエリ面の拡大。逆にCTRだけ動いたなら、タイトルやメタの変更が効いた可能性を先に疑う。

4つとも通して初めて「アップデートで動いた」と言える。今回のCodeQuest.workは、1つも通らなかった。

ただしこの4つは、Google検索の中しか見ていない

ここまでの分解はすべてGSCのデータで完結している。裏を返せば、GSCに映らない面で起きた変化は、この手順では原理的に見えない。当てはまるのがAI面だ。そしてAI面と一括りにされがちな2つは、測定できる場所がまるで違う。

どこで起きるか測る場所
AIO(AI Overview 等)Google検索の結果ページの中GSCの数字に混ざって入る(ただし分離できない)
GEO(ChatGPT・Perplexity 等)Googleの外GSCには一切映らない。GA4の参照元でしか見えない

先に手順の限界を認めておく。GSCにはAIOだけを切り出すフィルターが存在しない。つまり「AIOで何回引用されたか」をGSCから直接読むことはできず、ここまで分解してきた表示・クリックにはAIOの影響が混ざったままだ。この分解でAIOの寄与を切り分けることは、現状できない。

一方、外側のGEOはGA4で確認できる。同じ2期間で、AI経由の参照セッションを数えるとこうなった。

AI経由の参照セッション(GA4実測)

参照元セッションの変化(前期間比)
AI経由の合計+4%
(参考)Google検索経由+34%

AI経由はほぼ横ばいだった。総量が動かないまま、内訳ではChatGPT系が減りGemini経由が増えるという入れ替わりが起きている。ただしAI経由はサイト全体の参照のごく一部にすぎず、この母数で傾向を断定することはできない。言えるのは「この期間の伸びはGEO面ではなく検索面で起きた」という一点だけで、結論は変わらない。

ここから導かれる運用上の含意は、AIOとGEOを一つの「AI対策」に丸めないことだ。施策としては重なっていても、測定器が別である以上、丸めた瞬間にどちらの面で起きた変化かを説明できなくなる。今回のように「検索面で伸びてAI面は動いていない」という切り分けができるのは、両者を別々に測っているからにすぎない。

なおGoogle公式は、生成AI検索への最適化について「optimizing for generative AI search is optimizing for the search experience, and thus still SEO(生成AI検索への最適化は検索体験への最適化であり、依然としてSEOである)」と明言している。ただしこれはGoogleの生成AI検索についての見解であって、ChatGPTやPerplexityなど他社AIについて同じ声明が出ているわけではない。他社AIの側は、公式見解がないまま参照だけが観測されている状態にある。

一次ソース:Google Search Central — AI optimization guide

この観測から何が言えて、何が言えないか

言えること

  • アップデート期間中の成長は、それ単体ではアップデートの効果の証拠にならない
  • 公開を続けているサイトでは、前後比較の過半が新規ページ由来になりうる
  • サイト全体が伸びていても、個別ページが1ページ目から消えていることはある

言えないこと(留保)

  • 「7月の変動には効果がなかった」とは言えない。言えるのは、このサイトの成長を説明する必要がなかった、ということだけ。他ジャンル・他規模のサイトでは違う結果になりうる(n=1の観測)
  • 新規ページの投入と変動が同時に走っているため、「変動で下がった分を新規投入が埋めた」可能性は排除できない。継続ページの下降優勢は、その解釈とも整合する
  • 7月18〜19日・23〜24日の変動はGoogleが確認していない。トラッカーが反応した事実と、アルゴリズム更新があった事実は同じではない

5月コアアップデートのときにGoogle公式が明言したのは「順位下落=ページに問題があるとは限らない」だった。今回の観測は、その裏返しを示している——順位上昇や流入増も、アップデートに評価された証拠とは限らない。

関連する実測:Google公式声明の読み方はGoogle 5月コアアップデート|公式が明言した3つ、新規ページの初速が出る条件は土台SEO、上乗せAIO/GEO|30日実測レポートで扱っている。本記事は、その成長を「アップデートの成果」と読んでよいかを検証した3本目にあたる。

変動の前後でベースラインを取っておく

帰属の検証は、変動前のベースラインがあるほど精度が上がります。URLを入力するだけで、技術基盤・構造化データ・メタタグ・E-E-A-Tシグナルを45項目で診断。次の変動が来たときの比較対象になります。

今井政和

この記事を書いた人

今井政和

SEOディレクター / フロントエンド開発者

Web業界20年以上の経験を持つSEOディレクター。ディレベースの開発者。WordPress公式プラグイン「ORECTIC SEO CHECK」作者。著書に「三方良しで勝つ 江戸商人に学ぶ現代WEB戦略」。

@imai_director

よくある質問

アップデート期間中にサイトが伸びたら、それはアップデートの成果ですか?
そうとは限りません。CodeQuest.workは7月コアアップデート完了後の28日間でクリック+41%・表示+49%を記録しましたが、分解すると変動の寄与はほとんど確認できませんでした。伸びの55%は期間中に新規公開したページ由来で、両期間に存在する継続ページのうち順位が上がったのは37%、下がったのは45%と下降が優勢でした。アップデートが順位を動かしたなら日次データに段差が出るはずですが、週次の表示数は5月末から一貫した右肩上がりで、ロールアウト完了日にも未確認変動の日にも段差はありませんでした。
アップデートで動いたかどうかは、どう判定すればいいですか?
GSCのデータだけで4つ確認できます。①日次(できれば7日単位)の曲線にロールアウト日を境とする段差があるか、②新規ページを除いた継続ページだけでも伸びているか、③平均掲載順位ではなくページ単位で上昇何本・下降何本を数えたときどちらが多いか、④表示とCTRが揃って改善しているか。4つとも通って初めて「アップデートで動いた」と言えます。1つでも外れる場合は、公開ペース・タイトル変更・クエリ面の拡大など別の要因を先に疑うべきです。
順位が下がっているのに表示とクリックが増えるのはなぜですか?
拾われるクエリの面が広がったからです。新しいロングテールクエリでヒットするようになると、そのクエリでの掲載順位は低いことが多いため平均掲載順位は下がり、一方で表示回数は増え、CTRは薄まります。CodeQuest.workの継続ページは順位が下降優勢でありながら表示+27%・クリック+19%で、CTRは4.63%から4.38%へ低下しました。「順位上昇による増加」なら表示とCTRは揃って改善するはずなので、この形は順位上昇ではなく面の拡大と判定できます。
サイト全体が伸びていれば、個別ページは気にしなくていいですか?
よくありません。全体が伸びている期間でも個別には落ちます。CodeQuest.workの実測では、全体がクリック+41%の裏で、あるツールページが順位7.7→21.1で検索1ページ目から完全に消え、CSS関連の記事はクリックを42%失っていました。サイト全体の数字が上向いていると、この種の下落は集計に埋もれて発見が遅れます。総量とは別に、ページ単位の増減リストを必ず確認してください。
Googleが確認していない「未確認の変動」はどう扱えばいいですか?
SERPトラッカーが反応した事実と、アルゴリズム更新が実際にあった事実は同じではありません。2026年7月18〜19日と23〜24日には14以上のトラッカーが変動を検知しましたが、Googleは最後まで確認していません。未確認の変動を前提に施策を打つと、存在しないかもしれない原因に対処することになります。トラッカーの反応は「自社データを見に行くトリガー」として使い、判断は自社のGSC実測から行うのが安全です。

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