SEOラボ

GA4のボットは
除外より判断から外す

自社サイトのGA4では、28日間のセッションの4割強が、ボットと見てよい塊でした。GA4が自動で外すもの・外さないもの、外し方の3つの層、そして外しきれない前提でどの判断にどの数字を使うかを、私たちが一度判断を誤った経緯とあわせて書きます。

9分で読める2026-11-04

GA4が自動で外すボットは、GoogleとIABのリストで「既知」とされたものだけで、外した量を見ることも、この除外を止めることもできません。管理画面のデータフィルタで外せるのは内部トラフィック(IPアドレス)・デベロッパー・ホスト名の3種類で、国やユーザーエージェントでは外せず、外したデータは戻りません。そのため、疑わしいアクセスは「見るときに外す」で扱い、それでも外しきれない前提で、判断ごとにボットが混ざっても結論が変わらない数字(検索ならSearch Console、登録や購入なら自社の記録)を先に決めておくのが、私たちの結論です。

観察:28日間のセッションの4割強がボットの塊だった

このサイト(ディレベース)のGA4を、2026年10月6日から11月2日の28日間、チャネルと国で分けました。社内のアクセスは内部トラフィックのデータフィルタで除いてあります。割合は全セッションに占める割合、エンゲージメント率は各行の中での割合です。

国・チャネル割合エンゲージ率平均滞在
日本・Direct27%45%約3分
シンガポール・Direct27%2%約4秒
米国・Referral(参照元は1つのドメインだけ)12%0%0秒
日本・Organic Search7%55%約1分50秒
中国・Direct5%5%約3秒

シンガポールのDirect、米国の1つのドメインからのReferral、中国のDirectの3つを足すと、全セッションの44%になります。3つとも、エンゲージメント率が0〜5%、平均滞在が数秒です。検索から来た人(日本のOrganic Search)の55%と比べると、同じ「セッション」という単位で数えてよいものではありません。

シンガポールのDirectは、7月末に調べたときもDirectのユーザーの59%を占めていました(次の節で書く失敗の原因です)。少なくとも3か月、GA4の自動の除外をすり抜け続けていることになります。一方で、日本のDirectは45%がエンゲージしていて、ブックマークや社外の資料のリンクから来た人が多いと考えられます。「Directはボット」と一括りにすると、こちらまで捨てることになります。

GA4が自動で外すもの・外さないもの

アナリティクスのヘルプによると、GA4は既知のボットとスパイダーのトラフィックを自動で除外します。「既知」の判定は、Google自身の調査と、IABが管理する International Spiders and Bots List の組み合わせです。そして、この除外を止めることも、除外された量を確認することも、現時点ではできません。

ここから言えるのは、リストに載っていない自動のアクセスは、ブラウザでタグのJavaScriptを動かせば、人の訪問と同じように数えられる、ということです。上の表のシンガポールや中国の塊は、まさにこの形です。GA4の画面に出ている数字は、「既知のボットを引いた後」の数字であって、「ボットを引いた後」の数字ではありません。

自分で外す手段は2つに分かれます。1つは管理画面のデータフィルタで、種類は内部トラフィック(IPアドレスで指定)、デベロッパー、ウェブのホスト名の3つです。国やユーザーエージェントで外す種類はありません。データフィルタは作った時点以降のデータにだけ効き、ヘルプは影響が恒久的で、除外したデータはGA4でもBigQueryでも使えなくなると書いています。もう1つは探索レポートのフィルタや比較、セグメントで、こちらは元のデータを残したまま、見るときだけ外します。

上位の解説記事の多くは「探索でこう外す」「GTMでこう止める」という手順で終わっています。手順は正しいのですが、どれも「外せば正しい数字になる」という前提に立っています。私たちが実際に困ったのは、外し方ではなく、外し残しがあるまま判断してしまったことでした。

私たちが判断を誤った経緯

2026年7月、検索以外の集客として、制作会社などへ直接案内を送る施策を始めました。始めた週、GA4のDirectのユーザーがはっきり増えました。案内を受けた人はURLを直接開くのでDirectに入る、という筋の通った見立てで、Directの数字を施策の効果と読み、検索からの集客の4倍の効果があると見積もりました。

ところが、同じ期間のDirectを国で分けると、ユーザーの59%がシンガポールのエンゲージメントの無い訪問でした。Directの数字は、そもそも施策の効果をそのまま読める状態ではなかったのです。自社のデータベースで、案内の送付先とツールの実行記録を突き合わせると、実際にツールまで来たのは送付先の4.5%でした。施策が無駄だったわけではありませんが、「検索の4倍」は、ボットの混ざった数字を施策の手柄として読んだ結果でした。

この失敗の型は、「施策の開始」と「ボットの増加」がたまたま同じ時期に重なると、日次の差分ではどちらの効果か区別できない、というものです。ボットの塊は予告なく来て、予告なく去ります。前後比較は、比較している期間にボットの量が変わらないことを暗黙の前提にしています。

設計:外し方を3つの層に分ける

層手段戻せるか向くもの
集めるときに捨てるデータフィルタ(内部トラフィック=IPアドレス/デベロッパー/ウェブのホスト名)、GTMで送らない戻せない自社由来と確実に分かるものだけ(社内のIP、テスト環境、他人のサイトに貼られた自社タグ)
見るときに外す探索のフィルタ、比較、セグメント(国・参照元・エンゲージメントの有無)戻せる疑わしいが確証の無いもの。ボットの大半はここで扱う
判断に使わない判断ごとに、ボットが混ざっても結論が変わらない数字を選んでおく―外しきれないことを前提にした最後の防衛線

線を引く基準は「確証があるか」です。社内のIPやテスト環境は確証があるので、集めるときに捨ててかまいません。シンガポールのDirectは、エンゲージメントの数字からほぼボットだと言えても、その国から来る本物の訪問者がゼロだという確証はありません。こういうものを戻せない層で捨てると、後で前提が変わったときに取り戻せません。私たちはGA4の設定を変えず、集計のたびに国・参照元・エンゲージメントの有無で外す運用にしています。

ただ、見るときに外す層には弱点があります。毎回、同じ条件で外す手間がかかり、外す条件を知らない人が画面を開けば、汚れた数字をそのまま読みます。だから3つ目の層が要ります。

判断ごとに、ボットに強い数字を正本にする

3つ目の層は、外すことではなく、判断に使う数字の選び方です。判断したいことを先に並べ、それぞれ、ボットが混ざっても結論が変わらない数字を正本に決めます。私たちは次の表で運用しています。

判断したいこと正本にする数字判断に使わない数字
検索からの集客が伸びたかSearch Console の表示・クリック・順位GA4のセッション総数、Directの増減
施策で登録・購入が増えたか自社のデータベースや決済の記録(アカウント単位)GA4の日次の差分、施策開始の前後比較
記事が読まれているか検索から来たセッションのうちエンゲージメントのあったもの表示回数の総数、平均滞在時間
海外に需要があるかSearch Console の国別の表示GA4の国別ユーザー数

Search Consoleの表示とクリックは、Googleの検索結果の上で起きたことの記録です。サイトへ直接来る自動のアクセスは、そもそもこの数字に入りません。登録や購入は、アカウントや決済という、自動では作りにくい単位で数えられます。どちらも、GA4のセッションより「ボットが入りにくい場所」で数えている、というのが選んだ理由です。

GA4を使わないという意味ではありません。どのページから入りどこで離れたか、という行動の形を見るにはGA4がいちばん向いています。行動を見るときは、検索から来たセッションなど、ボットの少ない入り口に絞って見ます。総数や前後比較のように、ボットの量の変化がそのまま結論に入る使い方だけを避けます。

この設計が破綻するケース

エンゲージメントをまねる自動アクセス

GA4の「エンゲージメントのあったセッション」は、10秒以上続く、キーイベントが起きる、2ページ以上見る、のどれかを満たした訪問です。今回の塊は数秒で離れていたので見分けられましたが、10秒待ってから2ページ目を開く自動アクセスは、この条件を満たします。エンゲージメント率で隔離する方法は、ボットが作り込まれるほど効かなくなります。

人の代わりに動くAIエージェント

ブラウザを操作して、人の代わりに調べたり申し込んだりするAIエージェントが出てきました。ここまでの設計は「ボット=判断から外すノイズ」という前提に立っていますが、エージェントが依頼者の代わりに登録まで済ませたなら、その登録は本物の成果です。その時に問うべきは「人か機械か」ではなく「誰の代理か」で、GA4にはそれを区別する項目がありません。登録や購入を自社の記録で数えておく理由は、ここでも効きます。アカウントの側には、少なくとも誰の登録かが残るからです。

正本の側にも除外が要る

自社のデータベースを正本にしても、それで終わりではありません。同じ28日間の私たちのツールの実行記録では、89%が社内や取引先など、セルフサーブの利用者ではないアカウントによるものでした。GA4では内部トラフィックのフィルタで消えている分が、データベースには残っています。正本にする数字にも、どのアカウントを数えないかの一覧が要ります。私たちは除外するアカウントを1か所に書き、集計のたびに同じ一覧を使っています。

もう1つ、母数の小さいサイトでは、1つの塊で割合が大きく動きます。今回の米国のReferralは、たった1つのドメインで全セッションの12%でした。小さなサイトほど、割合の変化を見たら、まずどの塊が動いたかを確かめてから解釈してください。

次の一手:設定より先に、判断の表を作る

GA4の数字がおかしいと気づいたとき、最初に設定画面を開きたくなります。私たちのおすすめは逆で、先に「この数字で何を決めるのか」を書き出すことです。決めることが分かれば、ボットを外す必要があるのか、別の数字を正本にすれば済むのかが分かります。クライアントへの報告でも、ボットの増減でぶれる総数ではなく、正本の数字で成果を話せます。

検索の数字をGA4と組み合わせて読む手順はGA4でSEOを改善する方法、施策の効果を Search Console で確かめる設計はSearch ConsoleでSEO施策の効果を検証する方法に書いています。

関連ツール

出典(2026年11月4日に確認)

よくある質問

GA4にボットを除外する設定はありますか?▾
既知のボットとスパイダーは自動で除外され、この除外はオフにできません。「既知」の判定はGoogleの調査とIABのInternational Spiders and Bots Listの組み合わせで、除外された量も確認できません。リストに載っていない自動アクセスを外す専用の設定は無く、自分で外すなら、データフィルタ(内部トラフィック・デベロッパー・ホスト名の3種類)か、探索レポートのフィルタやセグメントを使います。
シンガポールや中国からのDirectが急に増えました。データフィルタで除外すべきですか?▾
データフィルタには国で外す種類が無く、内部トラフィックのフィルタはIPアドレスで指定するため、こうした塊には向きません。また、データフィルタの影響は恒久的で、除外したデータは戻りません。ほぼボットだと分かっていても、その国からの本物の訪問者がいないという確証は無いので、私たちは設定を変えずに、集計のたびに探索レポートで国・参照元・エンゲージメントの有無で外しています。
エンゲージメント率でボットを見分ける方法は確実ですか?▾
確実ではありません。GA4のエンゲージメントのあったセッションは、10秒以上続く・キーイベントが起きる・2ページ以上見る、のどれかを満たした訪問です。数秒で離れるボットは見分けられますが、10秒待ってから2ページ目を開くような自動アクセスは条件を満たします。エンゲージメント率は隔離の目安として使い、判断そのものはボットの入りにくい数字(Search Consoleや自社の登録・購入の記録)に置くほうが安全です。
施策の効果をGA4の前後比較で測るのは、なぜ危ないのですか?▾
前後比較は、比べる2つの期間でボットの量が変わらないことを暗黙の前提にしているからです。ボットの塊は予告なく来て去るため、施策の開始とたまたま重なると、どちらの効果か区別できません。私たちは、Directの数字を施策の効果と読んで「検索の4倍」と見積もり、自社のデータベースで送付先とツールの実行記録を突き合わせて、実際に来たのは送付先の4.5%だったと訂正したことがあります。
AIエージェントの訪問は、GA4でボットとして扱うべきですか?▾
一律には決められません。ブラウザを動かす種類の自動アクセスは、タグが動けばGA4に訪問として残り得ますが、GA4にはそれが人の操作か、誰かの代わりに動くエージェントかを区別する項目がありません。エージェントが依頼者の代わりに登録まで済ませたなら、それは本物の成果です。だからこそ、登録や購入は自社の記録で数え、「誰の登録か」が残る形で判断するのがよいと考えています。
自社のデータベースを正本にすれば、ボットや内部の利用は気にしなくてよいですか?▾
いいえ。データベースには、GA4の内部トラフィックのフィルタで消えている社内や取引先の利用が残ります。私たちのツールの実行記録では、28日間の89%がセルフサーブの利用者ではないアカウントによるものでした。正本にする数字にも、数えないアカウントの一覧が要ります。一覧は1か所にまとめ、集計のたびに同じものを使うと、人や回によって数字が変わるのを防げます。

数字を読む前に、ページの土台を確かめる

URLを入れると、titleや構造化データ、インデックスの妨げなど、検索に正しく伝わっているかを45項目で確かめます。正本にする検索の数字を伸ばす土台です。

SEOスコアチェックを開く
今井政和

この記事を書いた人

今井政和

SEOディレクター / フロントエンド開発者

Web業界20年以上の経験を持つSEOディレクター。ディレベースの開発者。WordPress公式プラグイン「ORECTIC SEO CHECK」作者。著書に「三方良しで勝つ 江戸商人に学ぶ現代WEB戦略」。

@imai_director

あわせて読みたい

検索仕様の変更9分

google.com/gotoとは?検索結果のリダイレクト導入で変わること・変わらないこと

Googleが検索結果のリンクに挟み始めた転送用URLを解説。サイト側の対応は不要で順位にも影響しない一方、順位計測ツールとGA4に何が起きるのか、自分のデータで確認する手順まで扱います。

続きを読む
Search Console10分

Search ConsoleでSEO効果を確認する方法|改善→検証サイクルの実践ガイド

Google Search Consoleで表示回数・クリック数・CTR・掲載順位を読み解き、SEO改善の効果を正しく検証する方法を解説。改善→確認→次の課題発見のサイクルを回す実践ガイド。

続きを読む
アナリティクス10分

GA4でSEO改善ポイントを見つける方法|アナリティクス×SEO診断の実践ガイド

GA4のランディングページレポート・エンゲージメント率からSEO課題を発見し、SEO診断ツールで原因を特定する実践ワークフロー。

続きを読む
SEOラボ9分

llms.txtに載せる記事をGA4のAI流入で毎月選び直す|4か月の運用記録

llms.txtの「AIからよく参照される記事」の一覧を、GA4のAI流入で毎月作り直した4か月の記録。顔ぶれは毎月半分以上入れ替わり、数だけで選ぶと主題外の記事も入る。GA4のAI流入はクローラーの訪問ではないことと、効果を言えない理由まで書く。

続きを読む