google.com/goto は、Googleが検索結果のリンクに挟み始めた転送用のURLです。クリックすると直接リンク先へ行くのではなく、いったんGoogleを経由してから目的のページへ移動します。サイト運営者側の対応は不要で、検索順位・クロール・インデックス・ユーザーの到達先はいずれも変わりません。影響が出るのは、検索結果を外部から取得している順位計測ツールなどの計測側です。
何が起きたのか
2026年6月下旬に一部で観測され始め、7月のテストを経て、8月26日にGoogleがロールアウトを認めました。順を追うと次のようになります。
2026年6月下旬
海外のSEO実務者が、検索結果のリンクが google.com/goto を経由していることに気づき始める。ごく一部の環境でしか再現せず、この時点では確証がなかった。
2026年7月
Googleが google.com/goto を検索結果内の中継URLとしてテストしていることが観測される。出方が環境によって割れる状態が続く。
2026年8月26日
Googleの広報担当者が、Search Engine Land と Search Engine Roundtable の取材に対してロールアウトを認める。順位計測ツールのNozzleは、同日に複数の住宅用IPプロバイダー経由でほぼ全面展開を観測したと報告。
Googleの広報担当者のコメントは次の一文だけです。
「当社には、進化する不正行為に対して技術的な対策を展開してきた長い歴史があり、サービスとユーザーを保護するために定期的に措置を講じています」
重要なのは、この文にスクレイピングもAIも出てこないことです。また、2026年8月28日時点でGoogleの公式ブログでの発表や技術ドキュメントは公開されていません。エンコード方式・転送の方法・リファラの扱いといった仕様は、いずれも公表されていない状態です。
仕組み|宛先がリンクに書かれなくなる
従来、検索結果のリンクにはリンク先のURLがそのまま書かれていました。今回の変更では、リンクの宛先が次のような形に置き換わります。
google.com/goto?url=[ハッシュ化された宛先]宛先はエンコードされた文字列として埋め込まれます。人間がクリックする分には、転送が1回挟まるだけで違いは分かりません。一方、検索結果のHTMLを機械的に読んで「1位はどのサイトか」を集計するプログラムから見ると、リンクを読んだだけでは宛先が分からず、1件ずつ転送を追わないと判別できない状態になります。
なお、出方は環境によって割れると報告されています。DemandSphereは、ログイン状態のユーザーでは goto への置き換えが起きる場合と起きない場合があるとしています。自分のブラウザで再現しないからといって、展開されていないとは限りません。
変わらないこと
先に、影響がない範囲を確定させます。ここを曖昧にしたまま読むと、不要な作業を増やすことになります。
| 対象 | 影響 |
|---|---|
| 検索順位 | goto を経由するかどうかで順位は変わりません。リンクの書き方の変更であって、評価の仕組みの変更ではありません。 |
| クロールとインデックス | Googlebot がサイトを巡回してインデックスする経路は別系統です。goto はユーザーがクリックした後の話です。 |
| ユーザーの到達先 | クリックした人は最終的に同じページに着きます。間に1回の転送が挟まるだけです。 |
| サイト側の作業 | 設定・タグ・robots.txt・リダイレクト、いずれも変更は不要です。「goto対策」という施策は存在しません。 |
つまり、この変更を受けてサイトに加えるべき修正はひとつもありません。「goto対応」をうたう施策提案を受けたら、具体的にどのファイルを何に書き換えるのかを確認してください。
変わること|影響は計測側に出る
影響を受けるのは、検索結果を外部から取得して数値化している仕組みです。自分のサイトではなく、自分が見ている数字のほうが動きます。
順位計測ツールのデータが薄くなる・遅れる可能性
リンク先が暗号化された形で埋め込まれるため、検索結果のHTMLを読むだけでは宛先が分かりません。ツール側は転送を1件ずつ追う必要があり、取得コストが上がります。この負荷が、取得頻度の低下や反映の遅れとして数値に表れることがあります。
ドメイン一致が壊れ、時系列が断絶する
順位計測サービスのDemandSphereは、対策前の状態では「宛先URLがすべて google.com に解決してしまい、自社ページを自社のものとして認識できず、シェアオブボイスや競合の集計が壊れ、ロールアウト日で時系列データが断絶する」と報告しています。同社は対応を実装済みとしていますが、契約しているツールが同じ対応を終えているかは、提供元の告知で確認する必要があります。
検索結果の大量取得そのものが難しくなる
Googleは目的を「不正行為への技術的対策」としか説明していませんが、宛先を隠す仕組みである以上、検索結果を機械的に写し取る行為のコストを上げる効果があります。SEO業界では、AI企業やスクレイピングツールによる収集の抑止が主眼だと受け止められています。ただしこれは業界側の解釈であり、Googleが明言した内容ではありません。
リファラやGA4の計測はどうなるのか
結論から言うと、2026年8月28日時点では未確定です。Googleはリファラの扱いを公表しておらず、「GA4の自然検索が直接流入に化ける」と断定できる材料はまだありません。
理屈のうえでは、懸念の筋は通っています。GA4はセッションの参照元を、リファラ・UTMパラメータ・クリックIDの3つから判定し、どれも無ければ (direct)/(none) に落とします。転送を挟んだときにリファラが失われれば、自然検索のクリックが直接流入として記録されることになります。実際、Google自身のドキュメントもリダイレクトがUTMパラメータを落とし得ることに触れています。
ただし、これは「リファラが失われた場合は」という条件付きの話です。転送がGoogleのリファラを保ったまま渡していれば、GA4の判定はこれまで通り成立します。仕様が公表されていない以上、他人の推測を待つより自分のデータで確認するほうが早く、確実です。
自分のデータで確認する3手順
レポート → 集客 → トラフィック獲得 で、セッションのデフォルトチャネルグループを表示します。8月19日〜25日と8月26日以降を比較し、Organic Search が落ち、同じ幅で Direct が増えていないかを見ます。両者が同時に動いていれば、参照元情報の欠落を疑う根拠になります。
Direct の増加は、参照元の欠落だけでなくボットの混入でも起きます。当サイトの実測でも、Direct の相当部分が特定地域から来る自動アクセスでした。地域・デバイス・エンゲージメント時間の内訳まで開いて、人間の行動として自然かを確認してください。ここを飛ばすと、無関係な現象を goto のせいにしてしまいます。
Search Console のクリック数はGoogle自身が計測しているため、この変更の影響を受けません。GSCのクリックが横ばいなのにGA4の Organic Search だけが落ちているなら、順位や流入量ではなく計測側のズレです。逆に両方が落ちているなら、原因は goto ではなく検索側にあります。この切り分けだけで、誤った施策に走るのを防げます。
GSCとGA4を突き合わせる考え方そのものは、Search Consoleで施策の効果を検証する方法で扱っています。本記事は今回の仕様変更の解釈、そちらは効果測定の設計そのものです。
AI検索・AIOへの含意
以下は推測です:GoogleはAI企業についても、スクレイピングについても言及していません。ここから先は仕組みから導いた解釈であり、確定した事実ではありません。
検索結果を機械的に写し取るコストが上がると、Googleの検索結果を間接的な情報源として回答を作る経路は不利になります。その分、AI側が自前のクローラーでサイトを直接読みに行く比重が相対的に上がる、という筋は考えられます。
そうなったときに効くのは、SERPでの見え方ではなく、ページ自体が機械に読める状態かどうかです。本文がHTMLに存在するか、AIのクローラーが実際に到達できているか、見出しと本文が答えの形になっているか。いずれも今回の変更とは無関係に、以前から必要だった項目です。
言い換えると、今回の件でやることが増えたわけではありません。増えたのは「自分の数字を自分で持っているか」の差です。AI検索まわりの用語と着手順はAIO・AEO・GEO・LLMOとは?に整理しています。
実務者が今やること3つ
「goto対策」はしない
サイト側に実装できることはありません。この変更を理由にリダイレクト設定やタグを触ると、直す必要のないものを壊すだけです。対策を売り込まれた場合は、具体的に何のファイルをどう変えるのかを聞いてください。答えられないはずです。
順位の一次データをGoogle Search Consoleに寄せる
第三者ツールの順位は、検索結果を外から取得した推定値です。今回のように取得経路が変わると、施策とは無関係に数値が動きます。表示回数・クリック・平均掲載順位はGSCが一次データなので、判断の基準はそちらに置き、ツールは競合比較などの補助に使うのが安全です。
契約中のツールの告知を確認する
順位計測やSERP取得を含むツールを使っているなら、8月26日前後のデータに欠損や断絶がないか、提供元が対応済みかを確認してください。対応が入った日を記録しておくと、後から見たときにグラフの段差を施策の効果と読み違えずに済みます。
計測の前に、ページ側を確定させる
数値のズレを追う前に、ページ自体が機械に読める状態かを確かめておくと切り分けが速くなります。URLを入れると、構造化データ・基本SEO・コンテンツ・技術的SEOの実装状況を診断します。
関連ツール
出典
よくある質問
google.com/goto とは何ですか?▾
サイト側で必要な対応はありますか?▾
検索順位やインデックスに影響しますか?▾
なぜGoogleはこの仕組みを導入したのですか?▾
GA4の自然検索がDirectに化ける可能性はありますか?▾
外の数字が揺れても、自分のページは自分で確かめられる
順位ツールの数値は取得経路の変更で動きます。ページの実装状態は動きません。URLを入れて、確かめられるほうから確定させてください。
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この記事を書いた人
今井政和SEOディレクター / フロントエンド開発者
Web業界20年以上の経験を持つSEOディレクター。ディレベースの開発者。WordPress公式プラグイン「ORECTIC SEO CHECK」作者。著書に「三方良しで勝つ 江戸商人に学ぶ現代WEB戦略」。
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